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起業家として、花を選んだ理由。

2020年 10月22日  特集

はじめまして、CAVIN Inc. CEOのYuya Roy Komatsuです。


西南学院高校を卒業後、フィリピンスラム街でNPOボランティアに従事しました。その後、カルフォルニア大学へ、ビジネスについて学ぶために渡米しました。そこで座学に励むとともに、アクセラレーター(スタートアップ企業のビジネス拡大について支援する組織)でのインターンシップを通して現場のリアルを感じながら、スタートアップについて学びました。

現在は福岡でCAVINという会社のCEOをしています。
CAVINは、一言でいうと、花屋&生産者の直接取引プラットフォームサービスです。「だれでも、いつでも、どこでも、素直な気持ちを伝えられる社会」をビジョンに掲げ、「世界中の花業界をアップデートする」ことをミッションとしています。

以前、mavieさんにもインタビューしていただきましたが、今回は「なぜ僕が花を選んだのか」「花でなければならなかった理由」「想い」について少しお話しできればと思います。

前回の記事はこちら
https://www.mavie-japan.com/blog/tokusyu/63


 



花を選んだ理由
僕は、起業家とは「社会の課題を、ビジネスという道具をつかって解決する者」だと考えています。


その上で、僕が起業家として解決したい社会課題は「心の貧困」。国連の調査によると、何と日本は現在「幸福度が世界62位」「自殺率ワースト6位」。この数字が語るのは、今この国で問われているのが「物質的な豊かさ」ではなく「精神的な豊かさ」だということ。

しかも幸福度は年々下がり続けていて、そのことを考えると、今まで世間が無駄だと考えて捨ててきてしまったことこそが、モノに溢れた忙しい現代社会にとっては、実は必要なことだったのではないかと僕は思います。

そこで僕が取り戻したいと考えたものが「人との繋がり」と「コミュニケーションの質」の二つです。

メッセージアプリなどでコミュニケーションの量が加速した現代。そのこと自体は便利で凄く良いなと思っています。しかし、そこで新たに産まれた問題があります。「コミュニケーションの質」の問題です。

いつでも伝えられるようになったからこそ、レスポンス(返答)の速度に価値の重きが置かれるようになりました。すると残念なことに、ワンワード、つまり一言一言の持つ貴重性が見えづらくなっていってしまいました。

レスポンスにかけるスピードが上がると言葉を丁寧に選ぶ時間も減ってしまうので、仕方のないことではあるのですが、それが行きすぎると、その安易な言葉のチョイスのために、逆に人を傷つけるといった、新たな問題が生まれます。

人と人を繋ぐために産まれたアプリだったはずが、ひどい場合には、学校でのいじめや、自殺の原因に繋がっていくことさえあるのです。

だからこそ「コミュニケーションの量」が担保できたこれからの時代に必要なのは「コミュニケーションの質」。そこで僕は「相手の気持ちを汲み取れる想像力」「情緒」「心」を育む必要があるとと感じました。

 

そして、選んだのが、「花」。

「心の貧困」「コミュニケーションの質」を解決するには、花が最適だと僕は結論づけました。花でなくてはならない理由がそこにありました。

まず、花にたどり着く前に事業アイデアを100程考えていったのですが、その中で「綺麗だと思う自然の産物で、手に取れる物」に的を絞ることにしました。でも殆どないんですよね。僕が美しいなと思う夕日や青空、海は全部手に取ることができない。

そんな中で3つ、対象になったのが「宝石、貝、花」でした。この3つなら実際に人が手に取れますよね。

次にこの中から「誰でも手に取れるもの」は何か考えました。手に取れるということは、誰かに贈れる。これは「ギフトエコノミー」に繋がります。自分自身に買うよりも他の誰かに与えることを幸せに感じるといった考え方をギフトエコノミーと言います。


「誰でも」手に取れるものという観点で考えると、希少性のある宝石はちょっと難しい。

そこで残ったのが、貝と花。ちなみに、これら二つが人の目に美しく見える理由は、そのフォルムが持つ黄金比ゆえだと聞いたことがあります。言い換えると、貝と花は人間がDNAレベルで綺麗だと思うようにできている。時代も、性別も、年齢も関係なく、みんなが直感的に綺麗だと感じる、これってすごいデザインなんです。


そして最後に着眼したのが「時間の幅があるもの」かということ。

花は時間がたてば必ず枯れますが、貝は10年経っても変わらず存在します。花は明日には枯れているかもしれませんが、貝は今日見ても十年後見ても同じ。花は時間を内包しているんです。時間の幅があるということは、花は時間の経過とともに変化をするということ。そう考えると、花に関わることでその変化を想像する力が養われると思いませんか


もし3日たっても花が元気だったら...?

誰かが水換えをしてくれたから元気なのかもしれないし、あるいは、誰かが花瓶を洗ってくれたからかもしれない。花は、その存在の裏側にあるストーリーを、僕たちに想像させてくれ、僕たちは花に関わることで想像力を鍛えることができます。

想像力を鍛え育んだ結果をコミュニケーションの場面で考えてみると「こんな言葉を言ったら相手はどう感じるかな?」と思いを巡らせることができるようになるということです。


「普遍的な自然の美しさ、時間の幅がわかる生き物、誰かに贈れる」この三つを考えると、絶対に花だと思いました。こうして僕は「花」をビジネスにすることを決定しました。



仲間が死んだ時に、花をお墓に添えた瞬間が人間の誕生だと定義する方もいます。

花は最古のギフトとして、「気持ちを伝えるための手段」として、人間の生活と密に関わってきました。


また、先ほど「ギフトエコノミー」というワードを出しました。いま世界がこぞって研究している「ギフトエコノミー」ですが、実はこれも今に始まったことではないのです。誰かに何かを与えて、与えられた人はその恩に感謝して受け取る。そしてその感謝の気持ちから、その人もまた、ほかの誰かに与えるようになる。これもまた、昔から存在していたことなのです。

人が皆、昔から感覚的にわかっていたことの大切さが見直され、次の世代により納得感を持って継承できるように、世界は今「思いやり」を科学しようと挑戦しているんです。


これまでもっていたけど手放してしまったもの、それを取り戻す作業を。

いつでもどこにでも咲いていた花をつかって「気持ちを伝えるための手段」をもっと豊かに彩っていければ、起業家としてこれに勝る喜びはありません。

 
 
 



 
 


 
 

 

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